第5波と第6波の違い
今週はCOVID-19の波を肌身で感じる1週間でした。
陽性患者からの電話相談、往診での検査依頼などもグッと増えてきました。
私も診療を通じてオミクロン株のゲシュタルトができつつあります。やはり、従来株と比較して軽症ですむことを実感しております。高齢者の陽性者も、緊張感を持って扉を開けたその先で、我々の心配をよそに元気に家の中へ招き入れてくださる方もいて、拍子抜けしそうになることも少なくないです。
そのため、往診依頼のお電話をいただいても、電話上で明らかに軽症だろうと思われる方にはその旨をご説明し、「高熱や喉の痛みはじきによくなりますので安静にしてくださいね」とお声かけします。そして、そういう患者が圧倒的多数です。軽症患者にも往診してあげたいのは山々なのですが、私たちも通常診療と両立しないといけないですし、何でもかんでも往診していては無駄な医療費による財政の逼迫を招く恐れもあります。基礎疾患のない若者でもインフルエンザで寝込んでいる時に高熱でしんどいのは間違いないですが、だからといってわざわざ往診を呼ぼう(往診しよう)、とはならないですよね。そんな感じです。
コロナ陽性後に酸素飽和度が下がる方がいても、コロナによる過剰炎症による肺炎によるものではなく、細菌感染の合併や基礎疾患の増悪(心不全や喘息の悪化)と推定される場合の方が多いと感じています。つまり、酸素飽和度だけ見てデキサメタゾン一辺倒の治療をしていると管理を間違う可能性もある(細菌性肺炎であれば同時に抗菌薬が必要。心不全なら体液管理。喘息なら気管支拡張剤の処方など)。
”なぜ酸素飽和度低下が起こっているか?”ということを限られた時間と情報で見極めていかないといけません。こういうと今の方が管理が難しいような印象がありますが、デルタ株での過剰炎症による場合と比較して全身状態が安定していることが多いので、丁寧に診察できますし、治療対象が明確なので医者としても”やりよう”があるわけです。さらにモルヌピラビルもある。コロナについては第5波よりも第6波の方が(今はまだ)戦いやすいと感じています。
そして、第5波と違って、(今はまだ)コロナ患者の入院はまあまあスムーズです。一方で、非コロナ患者の搬送に手こずる場合がとても多くなっています。
https://www.yomiuri.co.jp/national/20220120-OYT1T50071/
ただでさえ例年冬季は心臓病や脳卒中などが起きやすく、基礎疾患を拗らせやすい季節です。いわゆる一般病床の逼迫が感じられており、入院依頼を断られるたびに目の前が暗くなる思いでいます。
また、発熱外来には患者が殺到し、一般のクリニックはその外来機能が破綻寸前です。大量の発生届を医療機関でも保健所でも捌ききれず、患者の重症度とは相反して地域医療が機能不全を招きかけています。
こういった現状を鑑みると、やはり台頭する株の特性に合わせた向き合い方があるなと日々その確信の度合いを深めています。
色々語りたいことはありますが、今は午前2時30分。ようやく一息つくと睡魔が襲ってきます。多分明日もコロナ関連の相談があるでしょう。この辺りで休むこととします。続きはまた今度。