自宅のチカラ④

■病気を忘れて自然体で過ごせる
先日、患者様にこう問いかけたことがあります。
「退院カンファレンス(*)でお会いしたときは元気がなくて、主治医の先生に『もう一週間は持たない』と言われてしまったのに、退院後もう随分たちましたね。おにぎりをほうばっていて、眼にも力がみなぎっています。退院してからの元気の秘訣って何かあるのでしょうか?」
*退院カンファレンス:退院後の在宅療養を円滑にサポートするために、退院前に関係者やご家族で情報を共有する会議のこと。
その患者様は「秘訣ねぇ、、、」と少し考えを巡らせてから、このように答えられました。
「家では病気を忘れていられる時間が長いことだね。病院では朝から採血されたり、何回も看護師が来て薬をのめのめ言われて、医者には小難しいことを言われる。食欲がなくてご飯を残すと『しっかり食べて』とか『管で栄養入れないと』とか『栄養の点滴を始めます』っていわれたり。夜は夜でモニターの音が耳の直ぐ側で鳴り響いているし、四六時中病気の事を考えさせられる。これじゃ気が滅入っちゃうよね」
それはたしかにそうだ、、、と頷く私に患者様は続けます。
「家にいれば病人に対しても口うるさいかかぁと喧嘩したり、かかぁの握ったおにぎりを食べたりできるからね。寝たい時に寝て、テレビを見たい時に見て。ベッドの周りを走り回って触っちゃいけないものに手を出す孫を叱ったりもするね。そういう日常だと、自分が病人だってこと忘れちゃうんだよね」
病は気から、とは昔からよく言われています。
自宅での”生活”では、必然的に病気を意識する時間が減り、心身の活力が湧いてくるのかもしれません。
在宅医としての私が紹介してきた”自宅のチカラ”はあくまで経験的なものですが、自宅でチカラをもらい、在宅生活を謳歌しておられる終末期の患者様はたくさんいらっしゃいます。
私はほんのお手伝い程度の役回りですが、患者様が少しでも長く住み慣れたご自宅で、その人らしい充実した時間をお過ごしいただけるように、これからも精一杯頑張りたいと思っております。

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